01 手話で会話できることを目指して学んでいます

インタビューを受ける星崎厚子の写真1

博報堂DYアイ・オーに入ってもうすぐ丸2年(取材時)、経営計画管理室の室長として日々さまざまな業務を行っています。以前は博報堂社員として、アイ・オーには仕事を発注する立場で関わっていました。アイ・オーの社員はみな真面目でしっかり仕事の成果をあげていることからも信頼していましたし、会社が次第に大きく成長していく様子を外から見ていて、ここなら新しいことができるのではないかと思い、自分から出向を希望しました。

今の業務は予算の策定や人事、採用、育成、労務など多岐にわたっています。取引先との交渉も行いますし、取引先でのプレゼンテーションに同行することもあります。ときには外部の障害者団体と関わるなど仕事内容は幅広く、部下に助けられながら取り組んでおります。

入って驚いたのは、思っていたよりも手話が社内の第2言語のようにコミュニケーション手段となっていること。聾者と聴者の社員との会話でも手話が使われていることが多いのです。もちろんズレがないよう筆談やメールでの確認も行っていますが、聴者の社員は手話を学んでできるかぎり使っている。私も聾者の社員に教わって少しずつ手話を覚えて使えるようになってきましたし、聾者の社員はみな私の手話を読み取ろうとしてくれています。障害者と健常者ともに歩み寄って働いていて、あらためて良い会社だと実感しています。

02 誰もが「普通」であり、どこか「マイノリティ」でもある

インタビューを受ける星崎厚子の写真2

経営計画管理室 室長としての私を支えてくれている部下にも聾者の社員がいます。彼女たちははっきりと自分の考えを持ち、私の意見に反論することもしょっちゅう。私の方がいろいろと教わることもあり、きちんと良いコミュニケーションがとれている証だと思っています。上下関係にとらわれすぎず、障害者と健常者が協働し、お互いの意見を受け入れながら議論できる空気があるからでしょう。

アイ・オーには優秀な社員が多く、意欲的な社員にはもっと経営に参画してもらいたいと思っています。今までは大事なことについては会社のトップだけで決めてしまうことも多々ありましたが、その背景を考えると、もともとは障害者の社員に対する配慮があったからでは。いつしかそれが「ここまでやってもらったら負担になるだろう」という忖度になっていたのかもしれません。

障害者は弱者ではない。新しいことに迅速に取り組んだり、みんなを引っ張っていける社員もいます。もちろん障害者が働きやすい環境を守るための合理的配慮は必要ですが、社員個人の資質を活かし、可能性をさらに引き出すことも大事だと思います。

私は障害者と健常者を分けて考えていないんです。誰もが自分は「普通」「あたりまえ」と思っているけど、その一方で、価値観や考え方などさまざまな面で健常者も「自分はマイノリティなのでは」と感じることもあるのではないでしょうか。誰もが自分自身のスタンダードであり、どこかマイノリティなところもある。そんな個人が集まり、相手や自分のマイノリティな部分をポジティブにとらえることが多様性につながるのかもしれません。

03 特性も個性もさまざまな個人がチームとして団結している

インタビューを受ける星崎厚子の写真3

私がアイ・オーに入って1年近くたった頃、日本で新型コロナウイルス感染症が広がってきました。その発生以降、アイ・オーでもモバイルPCを数多く購入して順次テレワークでの勤務やフレックスタイムでの時差出勤を実施しています。障害の特性上、急な変化による新しいスタイルに順応することが得意でない方もいますが、研修を行いながら対応しています。

仕事以外で以前のように社員同士が気軽に会話ができなくなっていることは残念であり、私自身ももっと手話を教わったり、みんなとおしゃべりしたい気持ちもあるんです。アイ・オーには社内のコミュニケーションを活性化させることを目的とした「コミュニケーション委員会」があるのですが、こうした状況を改善できるよう、委員会が中心となってオンラインのクイズ大会を実施。社員全員を異なる部署のメンバー同士を組み合わせてチームに分け、メンバーが知恵を出し合って答えを導き出すもので、普段あまり仕事で接することのない社員同士もやりとりができて、みんな楽しんでいました。私たちは社員同士のつながり、コミュニケーションを大事にしており、コロナ禍においてもこのようにアイデアを出し合って関わりを深めています。まったく異なる特性や個性を持つ社員たちが、いざとなればチームとして一致団結する。普段からお互いを認め合って協働しているからなのだと思います。

04 時代の変化に対応しながら成長し続けるために

オフィスで働く星崎厚子の写真

社会状況が急激に変化しているこの時代、アイ・オーも時代に即した新たなプロジェクトを立ち上げるなど対応しながらチャレンジをしていかなくてはならないと思っています。これからも、突然に不測の事態が起こることは想定されますので、何が起きても耐えられる、未来へと進化していける会社を目指していかなくてはなりません。誰もが安心して長く働き続ける会社であり続けるためにも、社員には「自分たちの意見が会社を作る」という意識をより高め、さらに主体性を持って意欲的に仕事や課題に取り組んでほしいですし、そうできるよう新しい仕組みを考えたり、研修を行うなど働きかけています。

真面目にコツコツ取り組み続ける社員が多いのもアイ・オーの特徴です。中には障害の特性上、変化に対応することが苦手な社員もいますが、今やるべきことに真摯に取り組んでもらいたい。そして無理のない範囲で変化に向き合ってみてほしい。やってみると意外に「楽しくできた」と思うかもしれないですし、そんな体験を積み重ねることでより成長してほしいです。

意欲的にチャレンジしながら会社を牽引する人がいて、日々の業務に丁寧に向き合う人がいる。障害者も健常者もお互いの特性や個性を尊重し、補い合い、支え合って協働している、個人の成長が会社の成長に結びついている、それが私たちの博報堂DYアイ・オーなのです。